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自治会の防災の取り組み

ゆーず連絡会

【ご近助コンシェルジュ 稗原(菅生・水沢・菅生ケ丘・潮見台)地区担当/小浦千恵、2021年3月25日 記】

私が住む菅生ケ丘は、災害発生時の避難所は稗原小学校です。稗原小学校の近隣には7つの自治会があり、共同で「稗原小学校区自主防災組織」として地域の防災活動に取り組んでいます。
先日、稗原ゆ~ず連絡会(※)の定例会に参加した時、防災についてお話をしていた3人の自治会長にあらためて詳しくお話を伺い、コロナ禍における防災・避難の問題点についても教えていただきました。

※ 稗原ゆ~ず連絡会とは、稗原小学校区内の7自治会と小学校・医療・障害・介護施設など15団体が協力し、地域における、高齢・子育て・医療・福祉・障がい等を総合的にサポートする活動を続けています。

【写真:稗原ゆ~ず連絡会の定例会の様子】


3自治会の取り組み

防災ファイル

■菅生台自治会 (黒澤克實会長)
災害発生時に自治会内であらゆる対応ができるように、常に防災に対する意識を高く持ち続けられるように工夫して、全自治会員に災害時の役割(消火・救出救護・情報パトロールなど)を班別に担ってもらい、「防災ファイル」を配布し、自宅を避難所とするように指示しています。

防災ファイル[写真]
大地震、大型台風等に備えた心得や基本行動、各種情報、新型コロナウィルス感染防止対処が記載されている資料や腕章

現在の防災本部役員は女性が中心に活躍し、月に一回の定例会議では『問題は何か』と話し合いを続けていて、災害時には若い力が必要と2019年12月に中高生をメンバーとする防災チームを、2020年5月には災害用医療チームを発足させています。動ける男性陣の役割は力仕事などの防災支援です。
菅生台自治会の指定避難所は、菅生中学校となっており、高齢者にはかなりきつい坂を上っていかねばなりません。菅生中学校にすぐに避難できない場合のことを想定して、避難者はまず自治会館や公園を活用し、さらに、自宅を避難所として使ってもよい、とされているお宅を避難所として使用することや、宮前区役所へ申請済みの21名の災害時要援護者の支援についても、防災部の対応手順が明確になっています。
これら防災部の業務・活動の全てを書面に残し、知識や体験を積み上げていくことが大切と考え、毎年3月に業務引継ぎ書を作成し、新役員へと引き継がれていきます。


■稗原団地自治会 (瀬尾為明会長)
1982年宮前区でも早くから自主防災組織が発足した自治会です。毎年稗原小学校のグラウンドで防災訓練を行い、多い年は400名程が参加する大きな自治会です。
ひと昔前は60歳になって地域のために活動できる男性がたくさんいましたが、今の時代は60歳でもまだまだ現役で仕事をしているため、どうやって活動できる人を確保するかが課題の一つとなっており、自主防災組織の再編成が必要となっています。そのため、近年の防災訓練時には避難しただれでもが避難所を開設できるように「避難所開設訓練」も行うようにし、それと同時に、毎年防災を意識してもらうために、防災訓練時に近隣住民で声かけすることを続けています。
また、全世帯に独自の「自治会会員カード」を作成し、世帯情報とともに災害時の避難に支援が必要かどうか記入してもらっており、実際には40名ほどいるのですが、川崎市に災害時要援護者として申請しているのは5名ほどです。これはカードに記入してもらったからこそわかったことで、世帯情報の把握は災害時にはかかせないものと考えています。
地域としては築30年以上の住宅も多く、建て替えが進む一方、災害時に倒壊家屋となる危険も潜んでいます。


■鷲ヶ峰西住宅自治会 (川田和子会長)
鷲ヶ峰西住宅の建物は耐震年数が残っていること、山を削って建てたことから地盤もしっかりしていると言われています。高齢者が多い地域なので倒壊家屋が多く足場が悪いところを下り小学校の体育館に避難をするよりも、各棟それぞれで簡易避難所を開設し、集会所を本部として対応することを想定しています。被災後の初期対応用品を7棟分用意してあり、各棟の住民が協力して助け合う意識をもち、乗り越えていこうと、今年度は新たに「防災マニュアル」を作成し全世帯に配布しました。来年度はこのマニュアルをもとに、実際の訓練として行っていく予定です。


共通問題 ~3会長に聞く~

過去の防災訓練の様子

★最大の課題 トイレ問題
災害発生時においても、排せつは人間にとって待ったなしです。避難所である学校のトイレが使えれば問題は少なくてすみますが、おそらく停電・断水で使えない可能性が高く、また、稗原小学校には下水のマンホールの上に直接仮設トイレを設置できる場所がなく、「ドント・コイ」という災害用仮設トイレを使用することになります。この場合、バキュームカーで排泄物を処理することになりますが、バキュームカーが稗原小学校まで来られるかの道路問題もあります。
トイレを不快・不便と感じると、なるべくトイレに行かないようにと水分摂取を控えがちになり、脱水等で体調不良につながります。誰しも排泄物の処理は嫌なものなので、適切に的確な方法で処理することを決めておきたい、と生活環境事業所と話し合いをすすめています。


★コロナ禍の防災・避難
指定避難所である稗原小学校の体育館の収容人数は81区画(約200名)ですが、感染予防の対策が必要であれば半分以下の37区画(約100名)となり、とても皆が避難できる場所ではありません。
コロナ禍において、防災・避難の基本方針についてはかわらないものの、避難所の在り方について見直す大きなきっかけになりました。
自治会内に新型コロナウィルス感染者や濃厚接触者がいるかいないかの確認や、また、その方々が避難所に避難してきた場合の隔離場所が必要です。
新型コロナウィルスに感染するかもしれない、という不安もありながら、それでも被災の不安から避難所を訪れる住民はたくさんいるはずです。知っている人と会うだけで安心すると思います。しかし、家屋がつぶれておらず、インフラも正常であれば、在宅避難のほうがよいのかもしれません。高齢者の方々はがれきの中を避難のために歩くのもたいへんです。
でも、在宅避難を促すと、今度は、少々無理をしても家にいてしまい体調不良となってしまうケースがたくさん起こるのではないか、と別の心配がでてきます。


★個人情報保護法の解釈の現状
自治会に加入する際に提出する世帯情報は個人情報として取り扱われ、規則に従い各自治会で厳重に管理されています。しかし近年は、個人情報だから、と情報提供しない住民もおり、災害時における連絡や情報収集のネックになる場合があるのではないかと想定しています。
ここで預かる世帯情報は、災害時に自治会が自主的に住民の命を守るために活用する情報だということを行政からも発信していただけると住民の理解も深まると考えます。


★在宅被災者の支援も含めた稗原小学校区被災者支援センターへ
これからは、避難所に避難してきた人だけではなく、在宅避難をしている人の両方をサポートする仕組みが必要です。
在宅避難している各家庭に必要物資を運んだり、声かけをしたり、道路整備をしたり、と様々な場面でたくさんの人力が必要となり問題も山積みです。
しかしながら、稗原小学校が避難者のための「避難所」から、地域の在宅被災者を含めた被災者のための拠点となる「被災者支援センター」となり、避難所でも在宅避難でも大丈夫という安心感をもってもらえるようにしていくことが大きな課題です。

【写真:過去の防災訓練の様子】


自治会長の皆さんの想いにふれて

パンフレット

今回お話を伺って、自治会長の皆さんが防災と避難について地域住民のために、ずっと継続して、とても深く考えてくださっていることを知り、感謝の気持ちでいっぱいになりました。あらためて、自治会が私たちの生活を支え、地域の繋がりを保つ存在であることを感じました。
私は地域の防災訓練に、自治会の班長をしていた時に一度参加したことがあります。班長だったから参加した、という感じで、他の年度は予定が入っていたり、行きそびれたりしていました。訓練に参加しても、どこか他人事というか、役割が決まっていてやってくれている人がいる、という感覚で、ただその場にいるだけだった気がします。この参加の仕方だと、実際に災害が起こった時、私はサポートされる側にいるのだろう、と思います。ですが、そうではなく、サポートする側にもなれるように、積極的に参加をしていかなければならないと思い直しました。
とはいえ、地域を支え続けてくださっている自治会の方々と年代の差もあり、入り込むにはなかなか勇気がいることです。子どもたちは幼稚園や学校で定期的に防災訓練をしていて、最近の地震発生時も、学校で教わったことを実践していました。もしかして、私たち親世代が一番防災訓練をしていないのではないかとハッとしました。
地域の訓練に私たちが参加していいのかな、とか、参加しても知らない人ばかりだし、とか、消極的に考えていましたが、実際に災害が発生した場合に動ける世代は私たちかもしれません。備蓄や防災用品の準備など自助の努力と、日頃から声を掛け合い、顔見知りを増やし、世代を超えて住民同士が繋がり、近くにいる人が近くの人を助ける顔の見える関係の「ご近助」で助け合えるように、自治会長をはじめ地域の皆さんが頑張ってくれている防災活動に、これから私も積極的に参加していきたいと思います。

町内会・自治会のご案内パンフレット[写真]がとても可愛らしく、わかりやすくなりました。
ぜひお手にとってご覧いただき、地域に興味を持っていただければと思います。


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