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★心豊かな町、還暦の五所塚。
心豊かな町、還暦の五所塚。
【ご近助コンシェルジュ 平・神木本町・五所塚地区担当/山田佳一朗、2022年3月28日 記】
川崎で初めて住宅開発が行われた町をご存知だろうか?
1961年に山を切り拓き閑静な住宅地として生まれたのが五所塚だ。
「安心安全 心豊かな生活が送れる五所塚、がスローガンなんですよ。」
五所塚町内会の会長となって14年目の高久實(たかくみのる)さんが話してくれた。
現在650世帯が暮らす五所塚は480世帯が町内会に入っている。
町内会の活動は、会員の皆さんが安心安全に暮らし、心豊かに生活するために行なっていると言う。
その活動のおかげだろうか、新たに居を構えた方はほとんど入会し、10年間で95世帯が増えたそうだ。
(写真:五所塚の町並み。丘の上に位置する町からは富士山を臨める。60周年記念誌表紙から。)
花と会話が溢れる活動
町内会では、秋に長尾公園の舞台で演芸を披露したり、餅つきをして五所塚餅として販売をしたりした「五所塚まつり」を開催していた。
また、「五所塚ふれあい広場」の活動ではお茶会を月に一回程度ひらき、高久さんがお菓子を買ってきて会員の方々との会話を楽しんだそうだ。
しかし、それもコロナで2年間開催ができていない。
そんな中でも美化活動だけは継続している。
五所塚は2011年度から、宮前区では4ヶ所しかない地域緑化推進地区に指定された。
春と秋に花壇分の花苗を申請すると、市から花苗が届き、公園管理運営協議会の方が中心となって植えている。そのお陰で花が溢れた地域となった。
同時に、道路や公園の清掃も毎月されている。
みんなで植えて、その後にお茶をしながら会話することでコミュニケーションが生まれる。
コロナ禍でも美化活動をしたことでコミュニティの継続につながったそうだ。
(写真:五所塚第2公園の花壇に植えられた日々草やマリーゴールド)
自らの足で情報収集、自らの手で魅力を発信
高久さんは町内会活動に参加するだけでなく、日々町内を歩き、声がけしてコミュニケーションをとっている。
「先日、近所の町会長さんたちと羽田空港と川崎臨海部を結ぶ多摩川スカイブリッジへ行ってきました。」
そうすることで、町内、町外の様々な情報を入手しているそうだ。
そうして得た情報は2017年に開設したホームページに高久さんが更新。
また、年に4回「五所塚だより」を発行し、それらはホームページにも掲載されていて、いつでも見ることができる。
A4版両面の五所塚だよりも高久さんの手で書かれているが、書くことで連絡事項や町内の情報が整理できて良いそうだ。
◆五所塚町内会ホームページ
(写真:コロナ禍前まで続いていた町内一周ウォーキング)
60周年記念誌
「昨年、還暦になったんですよ。」
高久さんのことではない。
1961年に生まれた五所塚は2021年、60周年を迎えた。
そこで21年12月、町内会は「60周年記念誌」を発行。
「還暦が生まれた頃に戻って出直す契機であるように、記念誌を見て、町内会の方々に昔を思い出しながら新たな気持ちで生活してほしい。」と高久さん。
町内会の仲間、樗木(おおてき)さんがデザインした40ページにわたる紙面には、写真を多く掲載。
「見ていて楽しくなる工夫をしました。」
記念誌には9ページに渡って一人80字のコメントが載っている。会員一人ひとりみんなに読んで欲しかったので、会員の皆さんに投稿を募ってそれを載せた。
「えらい人の挨拶ばかりでは読まないからね。」
様々な工夫が感じられる紙面だ。
(写真:60周年記念誌の町内会員から寄せられた投稿ページ)
コロナ後を見据えた夢
記念誌は思わぬ効果があった。
コロナ禍で活動できない町内会において、取材をしたり、コメントをお願いしたりと、制作自体が会員同士のコミュニケーションツールとして機能したそうだ。
いずれコロナも収束する。
その時を見据え、高久さんには目標がある。
築40年が経過した会館の建て替えだ。
今の会館は2階建てで階段があるため、できれば平家にして少し広くしたい。
建て替えして、また町内会の方々が集まり、よりコミュニケーションが取れるようにしたい。
春の花が咲き誇る花壇の前で、高久さんはそう話してくれた。
会館が新しくなった頃、五所塚の活動と高久さんの笑顔を見に、また来ようと思う。
(写真:築40年の五所塚町内会館と高久会長)