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★バリアフルレストラン:あなたの「ふつう」はみんなの普通?
バリアフルレストランって?
【菅生ケ丘・菅生・潮見台・水沢地区担当、2023年2月27日記】
2023年2月11日10時~16時、宮前区地域包括ケアシステム推進イベントとして、宮前区役所で「あなたの『ふつう』はみんなの普通?」が開催された。
案内チラシを眺めていると、「バリアフルレストラン」と、初めて聞くレストラン名がある。
ん?「バリアフリー」(バリアがない)ではなく、「バリアフル」(バリアがたくさん)って?早速行ってみました。
イベント会場入り口で、
「『車いすユーザーと立って歩く人の割合が逆転した社会』では、どんなレストランが「ふつう」のレストランになるでしょう?これは車いすユーザーが多数派になった架空の世界のレストランです」、との説明を受ける。今一つピンとこないまま、レストラン入り口へと向かうと……。
あれ?入り口が低い。頭を下げないと入れない。
そう、車いすで通ることが「当たり前」の社会だから、車いすに座った高さに入り口があわせてある。
レストランの中も同様。車いすに座ってちょうどいい天井高だ。腰を曲げたまま動かないと天井にぶつかってしまう。
「いらっしゃいませ、あっ、二足歩行者の方ですね」
「事前予約はしておられますか?えっ、していない。介助者の方はご一緒ですよね?」
「つらそうですね。大変ですね、大丈夫ですか」
「天井にぶつかっても痛くないように、ヘルメットを貸し出しています。使いますか。助成金で買ったので二つしかなくて、皆さん全員分はないんですけど……」
「あ、座ってもらうための椅子が少しありますよ。二足歩行障害のかたのために特注で作りました」
「ここまでどうやって来られたんですか。電車も座席がないし、ほんとうに大変でしたね」
どれも、普段私たちが車いすの方に何気なくかけている言葉だ。
次第に、このレストランが伝えようとしていることの意味がわかってくる。
かけられる言葉の一つ一つが、「あなたは普通ではない」と伝えているのだ。
多数派の人に合わせた社会が、少数派の人を『普通ではない』ということに日々どれほど向き合わせているのか、を体験した。
【写真:左上がバリアフルレストランの様子】
気づくことから始めよう
いよいよ腰がつらくなったところで、体験は終了。レストランを出て、レストランスタッフと共に「振り返り」の時間だ。
参加者から、
「『予約は?』と聞かれてドキッとした。障害のある人は予約しないと来ちゃいけないと言われたようで……」
「『助成金で二つしか買えないけど』って、それでもあなたたちのために特別に買ったんですよ、と言われたみたいで嫌な気持ちになった」
「何度も『大変ですね』と言われることに戸惑った」
など、レストランで感じた違和感に「気づいた」、と感想が述べられた。
最後にレストランの店長に聞いてみた。
「自分たちが多数派のとき、少数派の人に私たちは普段どう声をかけばいいですか」
「『何か手伝えることありますか』って聞いてもらえばいいかもしれません」との答えだった。
「振り返り」でもらった資料に、「バリアフリー(事前的改善措置)と合理的配慮」という言葉があった。
「合理的配慮」は、介助や声かけなどを指す。
「合理的配慮は、障害のある人を“困らせている”社会の障害を変えるための行動です」と書かれていた。
また、「合理的配慮とバリアフリーは補完しあう関係」で、両方必要だけれども、いずれをどれくらい必要とするかは人によって異なる、とも書かれていた。
聞いてみることが大切なのだ。
このイベントは、バリアフルレストランに加え、
「ミニ講座」「アート展・マルシェ」「体験コーナー(車いす体験、音訳体験など)」
と盛りだくさんの内容で開催された。
地域ケア推進課がまとめた参加者アンケートの結果では、9割以上の参加者が「何かを得たり、感じたりした」と答えている。
自分では気づかない、普段の自分の「ふつう」に気づく、とても貴重な体験をさせていただいた。
【写真:盛りだくさんな内容で開催された】